空ろの箱と零のマリア2

空ろの箱と零のマリア〈2〉 (電撃文庫)

空ろの箱と零のマリア〈2〉 (電撃文庫)

「拒絶する教室」から抜け出して数日、星野一樹は音無麻里亜となったマリアやクラスメイト達と平穏な日常を過ごしていた。
ある朝、一樹は麻里亜から昨晩の電話による告白は何だったのか問い詰められる。覚えのない一樹は自分の携帯に見覚えのない発信履歴を見つけ、愕然とする。
見覚えのない発信は麻里亜だけでなく幼なじみの桐野心音にもかけられ、なんと一樹は心音にも告白をしたというのだ。
心音へ弁解しようとする一樹だったが急に記憶をなくし、起きた時には友人の大嶺醍哉から殴られていた。記憶を無くしている間に勝手な行動をする自分にクラスメートは次々に避けるようになる。
この状況を麻里亜は新たな「箱」に引き起こされたとものだと推測、そして嘲笑うかのように携帯には自らの声で星野一樹を壊すというメッセージが録音されていたのだった。新たな箱「泥の中の一週間」に一樹は為す術もなく翻弄されていき、麻里亜にさえ心を閉じていくようになる。

前半は傑作。この設定をありがちと見ることもできるだろうけど、前作を踏まえてこの状況を演出したなら、なかなか凄いと思う。

次々に孤立していく主人公、頼りにしていたヒロインからは泥の中の一週間を抜け出したとしても、以前の日常には戻れず、クラスからは村八分にされたままだろうと告げられる。
なんてマゾっ気の溢れた展開なんだろうか。
前作の奇跡が奇跡に過ぎない事を強調して語られる流れに、ほんとドキドキしながら読んでいたんだけど、一樹が自分を取り戻してからは、急にトーンダウン。

敵がちょっとしょぼくなり過ぎて、釣り合いが取れなくなったのもあるけど、こんなに愛があれば大丈夫と語られると、違うよなぁと思ってしまう。
いつのまにか日常も取り戻して、丸く治まってるし。

でも前半の設定と展開は好きなんで、次も読むことにする。