製鉄天使

製鉄天使

製鉄天使

80年代の始まり、鳥取県赤珠村。製鉄会社のお嬢、赤緑豆小豆は幼い頃から鉄に好かれ、鉄の武器を思うように扱っていた。
中学入学の朝、バイク屋から突然飛び出て来たバイクに跨がり学校に向かったが、春休みに因縁のあった立体駐車場にたむろする不良少女グループ「エドワード族」にリンチに会う。そのた帰りにエドワード族のオミソに教えられた〈鉄の武器屋 貴婦人と一角獣〉で、店主の暴走族「残薔薇壱輪」の元総番であり現総番の大和タケルの叔父イチから中国地方制覇の夢を聞かされ、新たな不良少女グループ「製鉄天使」の総番として「えいえんの国」へと走り出す。

赤朽葉家の伝説」の赤朽葉毛毬が命を懸けて描いた漫画のノベライズという事でいいのかな。
えいえんの国というキーワードもそう考えるとしっくりは来るんだけど、少々安っぽいか。

ランボーの詩を下敷きにしてるけど、少女漫画の永遠は、海と溶け合った太陽というより、もっと現実的で生々しい。男のロマンチシズムと真逆というか。
小豆が求める「えいえんの国」は憧れの場所じゃなく、失ったものが集まる場所のような気がする。
タケルが強さを求めて、暴走族からボクシングに移り、スミレが強さを求めて、進学校(地位でありお金)に進む事が、男子と女子の違いなんだろう。ラストに製鉄天使赤城山の黄金伝説を求めて走り出すシーンは男子になれない女子のアンビバレントな象徴のような気がしてならない。