造花の蜜
- 作者: 連城三紀彦
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2008/11
- メディア: 単行本
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裕福な歯科医山路と離婚して実家の印刷工場に戻った香奈子と息子の圭太。ある日幼稚園から圭太が蜂に刺されたという連絡があり、従業員の川田と伴に圭太を迎えに行くが、違和感を覚え幼稚園に電話をかけ直すとそんな電話は知らないし、圭太はお母さんと一緒に帰ったと聞かされる。それが奇妙な誘拐事件の始まりだった。
トリックに耽溺する誘拐ミステリー。
のらりくらりとした誘拐犯との電話、白昼の渋谷スクランブル交差点での身代金受け渡し、被害者家族の表に出せない事情。その意味するところが一度のみならず何度もひっくり返る。
読了後、直ぐさま読み返すとあらゆるところに伏線が張られていて、登場人物達の視点がばらつく読み辛い文章も、ラストに仕掛けた伏線だと気付く。
前作の人間動物園も目からうろこの誘拐ミステリーだったけど、今作は誘拐ミステリーの決定版と言えるかも。
難点は欲張り過ぎたせいか、ツッコミどころが多いところか。
本当に面白いバカミス。