身の上話

身の上話

身の上話

同僚から頼まれた宝くじを買うお使いをだしにして、不倫相手の営業マンを空港まで見送りに行く事にしたが、突発的に東京まで一緒について行き、なし崩しに東京で暮らす事になったある日、お使いで買った宝くじが2億円の高額当選をしていた古川ミチルを妻にした男が語る身の上話。

宝くじの高額当選者が渡される「【その日】から読む本」をバイブルに目立たぬように過ごそうとしていたのに、当選したが故にというか自業自得で事件に巻き込まれる古川ミチルの数年間を語っているにも関わらず、語り手であり夫の香月の身の上話になっているという超絶技巧。
淡々とした筆致なのに読むのをやめられなくなる。
最終章はミステリーで言うところの「最後の一撃」なのに深い余韻が味わえる。
これはオススメ。