乱反射

乱反射

乱反射

新聞記者加山聡は仕事にも家庭にも充実していたが、父親の入院で起きた嫁と姑のいさかいに少し悩まされていた。有閑マダム田丸ハナは道路拡幅工事で街路樹が伐採される事に義憤を感じていた。定年後に犬を飼い始めた三隅幸造は持病の腰痛から飼い犬の糞の始末をおざなりにしていた。緊急病院で働いている医師久米川治昭はアルバイトと割り切り無理をしない事に決めていた。病気がちな大学生安西博は病院が混む時間を避け夜間の緊急外来で診察を受けていた。車の運転が苦手な榎田克子は大型車に買い替えようとする家族に不満があったが口に出せずにいた。仕事熱心でない市役所の道路管理課職員小林麟太郎は雑用に苛立っていた。生真面目な造園業者安達道洋は自分の病的な潔癖症に悩まされていた。誰もがしてしまう些細な犯罪が一人の幼児を殺す事になる。カウントダウンで始まる群像劇。


悪意のピタゴラスイッチ。章立てがカウントダウンになっていて緊張感がいやがうえにも増す。
これがエンタメ小説なら、派手な事件になるんだけど、幼児の事故に繋がる社会派小説になって、読了まで読者に問い続ける。
モラルがテーマになると小説って重くなるな。
さっくり読めたのにしんどい小説だった。