暴雪圏

暴雪圏

暴雪圏

彼岸荒れと呼ばれる北海道の帯広一帯の四月に吹く暴雪風。元刑事課所属で志茂別町の駐在になった川久保篤は初めての爆弾低気圧に遭っていた。暴雪風のため動きの取れない町で、ヤクザの組長宅に押し込み強盗をする二人、会社の金庫から金を盗み出すうだつのあがらないサラリーマン、不倫を精算するために刃物を持ち出した主婦、義父の虐待から逃げ出す少女。様々な理由で雪に閉ざされた町に出なければ行けなかった男女が、とあるペンションで一夜を過ごす事になる。


クローズドサークルを舞台にした警察小説、と思ってたら、そうでもなくて、黒川博行がよく書きそうなダメ人間達の群像劇だった。
登場人物達がダメ人間なのに、なんか笑えないのは佐々木譲の作家性なんだろうな。逢坂剛奥田英朗なら徹底的に馬鹿にするところを容赦なく切り棄てたりするし、変に救ったりするんで、いまいち掴みきれない。
この話の主人公に「制服捜査」の川久保篤を持ってくるのが、凄いと言えば凄い。