あわせ鏡に飛び込んで

あわせ鏡に飛び込んで (講談社文庫)

別れ話から右手を接着剤で繋ぎとめられた男の惨劇「あなたをはなさない」
生命保険詐欺を企む夫婦が陥る疑惑「ノックを待ちながら」
作者当てとして書かれた井上夢人には珍しい外国を舞台にしたサスペンス「サンセット通りの天使」
いわくつきの貸し部屋にまつわるホラー「空部屋あります」
大金の強奪を狙う警備員に降り懸かる予想外な最期「千載一遇」
死んでも意識だけを残す薬を発明した研究員の悲劇「私は死なない」
インターネットがまだ世間に膾炙されていない時代に人工知能を開発するサラリーマンの妄執「ジェイとアイとＪＩ」
ジグソーパズルと組み合わせて発表された幻の作品「あわせ鏡に飛び込んで」
留守電の転送からドミノのように起きる悲劇「さよならの転送」
全編手紙で書かれた安楽椅子物のミステリー「書かれなかった手紙」

全て毛色が違う短編なのに、実に井上夢人らしい作品ばかり。
ベストは「あなたをはなさない」。
井上流の女性像がヒドイ。