Box!

ボックス!

ボックス!

大阪の進学校の特待生・木樽優紀は、親友でありボクシングの天才・鏑矢義平が電車の中で不良に絡まれていた英語の教師高津耀子を助ける姿を見て、その強さに憧れ、ある事がきっかけでボクシング部に入部する。ひ弱だった優紀は部活の監督沢木の指導通りの練習を素直に続け、やがて鏑矢が感心するほどのジャブを打つようになる。

道スポーツ青春小説。
はじめの一歩の高校編を短くしたような話で、既視感はあるものの、アマチュアボクシングとプロボクシングの違いやスポーツとしての合理的な部分と非合理的な部分を丁寧に書いていて、ボクシングを知らない人でもすんなり読める。丁寧過ぎて、何度も同じような説明が出るのは難点だけど500頁以上ある作品を一気に読ませる筆力はなかなかのもの。
ただ手堅く纏り過ぎていて、引っ掛かりが一つもないんだよな。印象に残るエピソードがあるとすれば、最初の電車の中で起きたいざこざの女子高生の携帯電話を割るところぐらいかも。