煙霞

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晴峰女子高校の美術講師熊谷は同僚の小山田から不当な人事と学園の私物化を糾弾する為に学園理事長酒井への直談判の協力を求められていた。誘拐じみた方法に積極的になれない熊谷だったが、音楽教師の菜穂子の軽い勧めにつられて拉致同然の交渉計画に乗ってしまう。しかし小山田の狙いは別にあった。

教育現場の裏金問題といった硬派な展開になると思ったら、ドタバタ犯罪小説へとなだれ込み、ラストまで一気読み。

悪知恵は働くけど、人殺しのようなトコトンまでの犯罪は出来ない奴らの騙し騙され合いが楽しい。

裏金作りや大阪の情景といったディティールの緻密さとスラップスティックなストーリーの軽さの落差が変にリアリティ感を増していて、妙な臨場感がある。これがベテランの技というものなんかな。