きのうの世界
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/09/04
- メディア: 単行本
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3本の塔(うち1本は焼失)と水路が廻る地方の町で、都会で失踪したはずの男の死体が見つかった。現場に凶器はなく、警察は事件として捜査する。男は偽名で1ヶ月ほどこの町で暮らし、何かを調べていたようだが、何を調べていたかはわからない。
9ヶ月後、失踪と死の謎を探るために、あなたが町を訪れる。
あらゆる謎をちりばめ、全てに何らかの解決を敢えて与える、企みに満ちた物語。
恩田陸の集大成らしいけど、なるほどと思う。
いつも通りの境界線が曖昧な文体に、どこか地に足がついてない登場人物たち。
視点がくるくる変わる断章に、書き割りのような町の風景。
恩田陸が好きな人には堪らないはず。
町の秘密が解かれた時、その壮大なトリックを挑発と取るか無意味と呆れるか。