東京島

東京島

東京島

清子が無人島に漂流して5年目。その間救助に来る者はなく、与那国島の野生生物調査の仕事から逃げ出したフリーター達と臑に傷がありそうな中国人グループが同じように流れ着いたのみ。漂流者達は何もない島をあえて東京島と名付け、自らで作った棲み家をシンジュク、チョーフと呼んだ。清子は漂流者唯一の女性であるため、彼女を巡る幾度かの争いのあと、夫を2年交代で籤引きで選ぶ事になった。そして清子は島で3度目の結婚式を迎える。

孤島サバイバル小説というよりも一幕物のシチュエーションドラマ、しかもコメディよりのドラマだ。
生き抜く動機づけのない若者たちが何もない島でどうなるのかという思考実験とも読めるし、中年を過ぎたオバさんの逆ハーレム小説(もちろんユートピアではなく一時の熱狂は過ぎて若者達から素気なくされる時点から物語は始まるのだけど)としても読む事ができるけど、無人島を舞台にしたソープオペラとして読んだ。まあLOSTを昼ドラにした感じかな。LOST見た事ないけど。

島民の器の小ささ、逞しいというよりも意地汚いといった部分ばかりを目立たせる作者の目線が残酷。