モザイク事件帳

モザイク事件帳 (創元クライム・クラブ)

モザイク事件帳 (創元クライム・クラブ)

意地悪本格7編。


「大きな森の小さな密室」
初っ端から問題作。
何度考えても、いつ殺したのかが、さっぱりわからない。
お昼前だと、生きているという証言が嘘になるし、その後になるとアリバイがあるんじゃないかなぁ。
この作者が犯人当てと銘打ってミスするとは思えないから、読み逃し?
それとも真犯人がいるって事?
誰か教えてください。

「氷橋」
倒叙ミステリ…らしい。
追い詰め方が強引でバカミスとしか思えない。
Spring-8には笑った。

「自らの伝言」
安楽椅子探偵というか、黒崎緑がやってた漫才本格みたいな感じ。
水伝を茶化してるけど、本格としては真っ当。
前半のダラダラ会話の伏線が綺麗に回収されている。

更新世の殺人」
これは馬鹿にしてる。
なんでもない真相をあれやこれと理屈をつけて遊んでる。
天動説の世界でミステリをする感じ。
山口雅也とか西澤保彦の本格観なんだけど、とにかく馬鹿にしてるのが小林泰三風。

「正直者の逆説」
なんだかよくわからないネタ見せなミステリ。
論理パズルを楽しむというか、悪ふざけを楽しむといったところ。

「遺体の代弁者」
SFミステリというよりは叙述トリックじゃないかなぁ。
犯人の強引なトリックは、今年映画になったミステリを思い出した。
それも念頭に入れてたのか、とついつい勘繰ってしまう。

「路上に放置されたパン屑の研究」
意地悪本格の真骨頂。
毒入りチョコレート形式をこんな感じで読まされるとは思わなかった。
この短編集ではベスト。


読み逃してる小林泰三の短編集を読まなくちゃ、と思った。