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ボディ・スナッチャーのリメイク版を撮ってる監督が、スタンフォード監獄実験をモデルにした“実験映画”。

ストレス映画−そんな言葉はないけど、SAWとか最近だとホステル(まだ見てない)の走りになる映画になるのかな。
ストレス解消じゃなくて、ストレスを味わう映画。ホラーほど非現実的でなくて、どちらかというとサスペンス寄りなのが特徴。

わざわざストレスを受けに映画を見る人がいるのか?
これが結構いたりする。
ストレスフルに陥る展開というのは、作劇法としては常套手段で、メロドラマの三角関係や、ミステリーの見えない犯人(黒い人影だね)、ホラーでいう開けてはいけない扉(でも開けちゃうやつ)と、多彩だ。
そんなのが、本編が終わるまで続くのが、この映画。この点に関しては、文句ないほどストレスが溜まる。重いストレスを味わいたい人にはうってつけな作品だ。

以下ネタバレ。


ただ、映画としての出来はよくない。
ドキュメンタリー的な部分とストーリー部分が全く噛み合っていない。
いろいろ用意された小道具も、録画眼鏡とか訳あり軍人にしても、全く伏線になってないし、ヒロインとの恋愛関係も主人公の記者としての過去もほとんど触れずに終わってしまい、さすがにここまで投げっぱなしにされると、ストーリー部分は必要ないし、邪魔。
思い切ってカットすれば、119分なんていう長い尺にならずに、90分前後の理想的な試聴時間に抑えられたはずだ。

欲張り過ぎただけなのかも知れないけど、肝心のミルグラム実験(閉鎖的な環境下における、権威者の指示に従う人間の心理状況を実験したもの)というテーマもぼやけてしまっては意味がない。

正直な話。観客と作品という関係が婉曲的なミルグラム実験に対応し、ストレスフルな状況下においては、観客という特権的な立場は逆転され、作品に支配されてしまう。てな感想を始めはでっちあげたんだけど、映画よりつまんなくなったんでやめちゃった。