クリムト

エゴン・シーレ役のニコライ・キンスキーが素晴らしい。
父親はあの怪優クラウス・キンスキー。
父親譲りというか、独特の存在感があるね。
病身のクリムトを見舞うおどおどしているのに躁気味なシーレを、見事に演じてる。

シーレといえば、なぜか太宰治を思い浮かべる。どちらも無心の手紙が遺されているダメっぷりが似ているからかな。

ダメな人に惹かれる。
その点でクリムトはダメキャラじゃないんだよね。
あっちこちで作り過ぎて、自分のこどもが何人いるかわからなかったり、好きな女性にはプラトニックであり続けたり、しまいには梅毒にかかって死んだり、と虚実内混ぜな話は伝わったりするけど、ダメなイメージはない。

自信家だからかな。絵も装飾的なせいもあるけど、迷いとか見当たらないし。母国ウィーンで悪評だった作品も、パリでは絶賛されたりと運がいい画家でもある。
実際、史上最高額の絵はこの人だから、いろいろと恵まれてた人なのかな、と思う。

クリムトとシーレが歳の差を越えた親友というのもパズルが嵌まったような感覚を共有できたからなんじゃないかな。

映画は、迷宮的な映画−「カフカ」や「π」、「裸のランチ」とかが好みの人には愉しめるかも。
伝記映画で見てしまうと瞼が重くなること請け合い。

マルコヴィッチはおとなしめ、だってキンスキーJr.が主役だもの。