MORIMOTO MIE展 at graf media gm

wood-village2007-05-28



森本美絵という名前を知らなくても、彼女の撮る写真は、一度ぐらい見たことがあるのではなかろうか。伊藤美咲木村カエラという旬の女性達の写真集は言うにおよばず、数々の広告や雑誌のカットに写真を提供している。
中でも奈良美智の製作風景をランドスケープ的に撮り下ろした「studio portrait|奈良美智」は、人気アーティストの製作ドキュメンタリにとどまらない独自の視点で透過した写真集になっている。

最近、奈良美智とのコラボレーションで、日本の現代美術館を巡回しているデザイン会社grafが、森本のランドスケープをはじめとする作品を一堂に会して展示したのが今回の展覧会だ。

会場に入って、まず驚くのが室内に設営された一軒の小屋だろう。ヨーロッパ調の白いペンキで塗られた小屋に森本の写真−写真だけでなく、ポラロイドや雑誌の切り抜きなども張り付けている。
もちろん、奈良美智grafの作品を見たことがある人ならニヤリとするかもしれない。横浜トリエンナーレ青森県立美術館金沢21世紀美術館で展示されていた方法と一緒だ。

白を基調とした淡い日常の写真が、小屋の内外を浮遊する、子どもの隠れ家めいた作品になっていて、graf特有のノスタルジーといまが繋がる空間を演出している。
惜しむらくは、会場の狭さに加え、展示されている写真の小ささもあって、とにかく見づらい、森本の写真よりも、小屋の印象だけが強く残ってしまったのも勿体なく感じた。
小屋のようなギミックを使わなくても、狭いギャラリーという空間を逆に活用して、作家の部屋、もしくはアトリエに見立てた展示でもよかったのでは。ねぇ、grafさん?