“文学少女”と死にたがりの道化

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一冊の本が人生を左右する事はあるのか。というと、カバンの中に本が一冊もないと不安になる本読みには、意外と心当たりがあるもので、生き死にまでになるとないにしろ、人間関係や学業・職業の選択には、いろいろ絡んできたりする。

こんな突拍子もない話で、自分の過去のあれこれを思い出すのも、本読みという人種が、個人でしか味わえないはずの愉しさや切なさを、形は違えど、みな共有しているからなのかも。

なんというか、太宰は甘酸っぱいという事で。「人間失格」にはまって、卒業文集に太宰を気取った文章を載せた中学時代の自分なんて消えてしまえ、と多々思ったり。

ラストの遠子先輩の説得は胸をついた。ああ、本読みは無駄に愛が深いよね。

残酷で痛々しい、だからこそ優しい物語。
存分に味わいました。むしゃむしゃ。