他人事

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崖から落ちた車中で家族を助けてくれと願う父親と話す無関心な通りすがりの男との届かない応対「他人事」、怪物としか呼べない引きこもりの息子を殺そうとする父親が至る最終行の衝撃「倅解体」、理不尽な暴力にただ曝されいくだけの「仔猫と天然ガス」など絶望感溢れる暗黒小説14編。

この後味の悪さは生半可ではない。
帯によると新聞記事から創作していったみたいだけど、現実を越えようと物語を刻み込む作者の妄想力にただただ圧倒される。
ミステリーからSFまで羅列といって構わないぐらいバラエティのある短編に一本筋が通っているように思えてしまうのはこの妄想力が産み出した絶望としか言えない存在のためだ。

存在感ある絶望に叩きのめされる短編集。
ほんと人に勧められないや。