どこから行っても遠い町

どこから行っても遠い町

どこから行っても遠い町

川上弘美の小説は危うい。

東京の下町という名の異界を舞台に、魚屋の大将や小料理屋の板前達がゆらゆらと寄る辺のない日常らしきものを過ごす群像劇。

彼女の書く小説に日常があった試しなんてないのに、そこに日常と地続きな光景を見てしまう自分に愕然としてしまう。
川上弘美が描く幸せは、ゆらゆらとして、つい憧れてしまうが、後戻りできない危うさがあるような気がする。