しらみつぶしの時計

しらみつぶしの時計

ノンシリーズの短編が10編。

「使用中」
収録作中でベスト。リドルストーリーというよりもブラックジョークで、法月の作家性がよくでている。

「ダブル・プレイ」
交換殺人テーマの倒叙ミステリ。法月流のカチコチなプロットは倒叙に合うね。

「素人芸」
スラップスティック。ときどきこういうミステリを法月は書くよね。

「盗まれた手紙」
ボルヘスのパスティーシュかつ正統派パズラー。この執拗さが他の新本格世代の作家にない強みかも。氷川透の新作が読みたいな。

「イン・メモリアル」
落ち話。キレイなショートショート。

「猫の巡礼」
本人も語ってる通り異色作。有栖川が書きそうな話だけど、作者はテリー・ビッスンを意識してるみたい。

「四色問題」
都筑道夫の退職刑事のパスティーシュ。ダイイングメッセージって使い勝手悪そうなプロットしか作れないのにみんな挑戦するよな。

「幽霊をやとった女」
これも都筑道夫のパスティーシュ。酔いどれ探偵から。前の退職刑事よりも楽しんで書いている気がする。ロスマク好きのなせる業か。

「しらみつぶしの時計」
こういうゲーム小説は法月作品としては珍しいかも。パズラーとしての矜持みたいなのが見えて楽しい。

「トゥ・オブ・アス」
大学時代の習作のリライトらしい。自作のパロディかと思った。