謎亭論処

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図子慧による解説の一文が素晴らしい。
「匠千暁シリーズは、そもそもがタカチという美しい謎を解く連作であります」

以下寸評。

「盗まれる答案用紙の問題」
ボアン先輩らしい巻き込まれ方。逆説の上にまた逆説を乗せてくるのが楽しい。

「見知らぬ督促状の問題」
悪意の描き方がえぐい。ほんと西澤保彦は綺麗な女性が嫌いだよな。

「消えた上履きの問題」
トラブルメーカーをこう料理するとは思わなかった。ある意味ファンタジーに近い。

「呼び出された婚約者の問題」
ウサコ探偵。悪意や突出したキャラクターの描き方が西澤本格の魅力ではあるけれど、この論理のアクロバットこそが本領だと思う。傑作。

「懲りない無礼者の問題」
いまいち。魅力的な謎だけど、納得がいかないな。

「閉じ込められる容疑者の問題」
密室殺人。謎そのものよりも主人公とタカチの距離感がいい。

「印字された不幸の手紙の問題」
日常の謎。学校生活で漏れ出る悪意というのは幼稚なだけに根が深い。

「新・麦酒の家の問題」
ボーナストラック。なぜ犯人は大量の缶ビールの配達を受け取ったのか。