レジンキャストミルク8

レジンキャストミルク〈8〉 (電撃文庫)

レジンキャストミルク〈8〉 (電撃文庫)

饒舌な「オイディプス」最終巻。

圧倒的な幕の引き方で大満足。まさに閉幕(カーテンフォール)に相応しい。

喋ってる間にいろいろ出来るだろうと思うぐらいの言葉の応酬がかなり気持ちよく、きめぜりふの畳み掛けなんかバカでしかないのに、どんどん引き込まれた。

この掛け合いって実に演劇的で、学校という狭い中で世界の危機と戦うなんて大きなほらを吹くという見せ方は小劇場の芝居に近い。

長台詞が続くとモノローグの垂れ流しになって、小説でいう行間とか余韻みたいなものは消し飛ぶんだけど、その分場の空気みたいなものが加速して臨場感が溢れる。
ただ、テーマ的なものも消し飛び、都合のいい物語展開になるから、その点は技術が必要で、なかなか難しい。

結果、世界の消滅を心が届けばなんとかなるという力わざで収めた。
この展開が不満というわけではなくて、クライマックスを見せるには、こういう少年漫画的な王道が、理に適っているなという話。

どんでん返しもいいけど、長編は王道の方が気持ちいいよ。