川の光

ぼくの中の松浦寿輝は、岡崎京子が事故を起こす前に、今はまっている物として挙げたのが、松浦寿輝の詩集というエピソードと芥川賞の「花腐し」や「幽」を読んだ時の、渇いて鋭いがどこか澱んでいるというイメージだ。

そんな松浦寿輝が新聞連載で、ネズミを主人公にした冒険小説を書き、しかも単行本はベストセラーになっていると聞いて、全然想像がつかなかった。

読んでみて、確かに面白く、万人受けする小説で、ますます想像がつかなくなった。

松浦の小説を読むのは、「あやめ 鰈 ひかがみ」以来ぐらいになるんだけど、こんな器用な人だとは思わなかった。

児童小説としても、もちろんなんだけど、ファンタジー小説として、すごく出来がいい。

若干説教くさい試練が、まさにファンタジーの王道という感じで、いいリズムでのめり込める。

挿絵もかわいらしく、エンデを夢中になって読んでた頃を思い出した。

歳を経て、何か思う事があったのか、前からその要素があったのか。

積ん読で放り出している「半島」を読んでみるか。